学ぶの学び

LHASA(Logic and Heuristics Applied to Synthetic Analysis)

以前、計算化学を用いてNMRスペクトルを予想し、それにより天然物の絶対立体配置を決定する(予測する)方法(GoodmanのNMRシフト計算を用いた立体化学予測①GoodmanのNMRシフト計算を用いた立体化学予測②)を学びました。

今回はLHASAについて学びたいと思います。
特に高縮環化合物をいかに逆合成解析していくかを計算を用いて考える方法です。

LHASAとは

文献はこちらの2つです。

1報目
LHASA—Logic and Heuristics Applied to Synthetic Analysis
DOI:10.1021/bk-1977-0061.ch001

2報目
General methods of synthetic analysis. Strategic bond disconnections for bridged polycyclic structures
E. J. Corey, W. Jeffrey Howe, H. W. Orf, David A. Pensak, and George Petersson
DOI: 10.1021/ja00854a026

まず、LHASAとはLogic and Heuristics Applied to Synthetic Analysisの略であり、コンピューターが逆合成解析の選択肢を示すことによって合成化学者を助力するためのプログラムです。
この方法は、ハーバード大のE. J. Coreyらによって報告されました。

定義

逆合成解析において、それをもとに結合切断の場所のパターンで最もどこが好ましいかを定義しています。以下に定義方法を記します。

  1. 最重要環は4~7員環の最も構築しやすい環を設定する。
  2. strategic bond(戦略として構築過程に入れる結合)は別の環に繋がっている必要がある。
  3. 環構造を最も簡略化するためにstrategic bondは環の内部になければならない
  4. 7員環以上の環形成は避けるべきである。
  5. 芳香環に含まれる結合はstrategic bondから除外されるべきである
  6. 環の弧状の炭素の中に不斉点が含まれる場合、不斉点構築をともなうstrategic bondの選択は避けるべきである

終わりに

Computer-Assisted Organic Synthesis (CAOS)についてさらに知りたいという方はBaran研のセミナー資料(書いたのは当時学生だったMaimone)がありますのでご覧ください。
https://www.scripps.edu/baran/images/grpmtgpdf/Maimone_Mar_06.pdf
この手法を用いて逆合成を行い、効率的な全合成を行っているのがRichmond Sarpongです。
彼の合成はスマートでありますが、こういった手法の選択にもそのすごさが出ているような気がします。

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