<書評>ウォーレン有機化学<上>

マクマリー有機化学を学んだ後に学ぶが次に有機化学にきちんと触れたのがウォーレン有機化学でした。
この本に関しては初学を終えた方もしくは初学書ではあまりに理論的な深い部分が載っていなくて不満である、という方に読んで頂きたい教科書であります。
それでは特徴を

長所

  • 炭素化学の反応関する情報が教科書の中でも比較的豊富
  • 特にカルボニル化合物、カルボアニオンに関する反応には詳しい
  • 初学書の類いの中ではカルベンとラジカルの基礎がしっかりと書いてある
  • 分光解析(NMRやIRなど)の実践的な基礎が書いてあるのでNMRを学ぶためのウォーミングアップとしては良いかも
  • ちょっとしたコラムが読者の興味をひく

短所

  • 窒素や硫黄、ケイ素などの有機化学の情報に乏しい
  • カルボカチオンやラジカルに関しての情報が少なめ
  • 芳香族置換反応についての記載があるものの、各置換基がなぜそのような性質になるかなどの詳細についての記述が乏しい

まなぶのオススメ度

初学者へのオススメ度
★★★★★

だれにでもオススメ度
★★★★★

専門家へのオススメ度
★★★★★

全推しですみません。
欠点を凌駕するほどに初学書にしてはしっかりとした専門的知識が記載され、かつ読者が読みやすいような文章で書かれている点が非常に好印象でした。
大学指定の教科書を一通り読み終わった方はウォーレン有機化学を読んでみるというのを1つの選択肢としてオススメします(わりとボルハルト・ショアーと意見は二分しがちですね笑)。