さて題名に迷いが生じましたが、学ぶの勝手に論文グランプリと称してその年の論文の中で学ぶがこれはみなさんに見て欲しいと思った論文を独断と偏見により紹介したいと思います!
大事なのでもう一度言います!
独断と偏見によって決めております!!
学ぶに賄賂渡したり学ぶと会うと勝手に偏見が・・・?←
まあ冗談はさておき、始めたいと思います。
まずはこのグランプリの記事の形式について説明します。
学ぶグランプリの形式
学ぶグランプリを選ぶにあたって、まず各分野より候補論文を選定していきました。
その後各分野の選定論文の中から学ぶがこの論文に勝手にグランプリを差し上げます!
と言う論文を紹介し、その論文の内容は少し他の論文よりもしっかりと説明する。
という形を取っていきたいと思います。
反応開発分野
まずは反応開発から!
僕もこれは気になります。応用効きそう。#学ぶのメモ https://t.co/QWzlJ2U9Zg
— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年4月2日
この反応はアミンに変換できることが有用なだけでなく、近年使われている配向基としてのAQ基を用いたC-H活性化反応の有用性を大きく高める反応と言えます。
例えば、こちらの反応など
A general strategy for synthesis of cyclophane-braced peptide macrocycles via palladium-catalysed intramolecular sp3C−H arylation
X. Zhang, G. Lu, M. Sun, M. Mahankali, Y. Ma, M. Zhang, W. Hua, Y. Hu, Q. Wang, J. Chen, G. He, X. Qi,
W. Shen, P. Liu, G. Chen, Nat. Chem., 2018, 10, 540–548.
DOI: 10.1038/s41557-018-0006-y
そしてこちらの論文に関わっているのがこちら。
#学ぶの論文紹介
活性アミドと言ったところかな。
Transition-Metal-Free Esterification of Amides via Selective N–C Cleavage under Mild Conditions https://t.co/YdlMgYV97N— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年9月5日
これを見ると、アミドの片方が電子求引性の官能基さえついていれば、求核剤によってアミド交換反応やエステル交換反応を引き起こすことができる可能性があるのではないかと想像できます。
これはいい!!!!さすがKürti!!#学ぶの論文紹介
Direct Primary Amination of Alkylmetals with NH-Oxaziridine https://t.co/Em4IvmuzDb— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年12月12日
使える反応シリーズで言うならばこちらも忘れることはできません。
オキサジリジンは構造によっては水酸基の導入に用いる試薬もありますが、Kürti先生はアミノ化反応を開発されている方ですので、アミノ化試薬を開発してしまいました。
結構使えそうな試薬です。
Me3SnOHってメチルエステルをカルボン酸に選択的に変換するのに使うけど、Trocの脱保護にも使えるんだ。#学ぶの論文紹介
Highly Chemoselective Deprotection of the 2,2,2-Trichloroethoxycarbonyl (Troc) Protecting Group https://t.co/8XJuAFiOG1— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年12月5日
さらにこちらも使えるシリーズ。Me3SnOHってメチルエステルを選択的に加水分解するのに有用な試薬で有名なのですが、今回Troc基の除去に使えることが報告されています。
TOCからはわからないのですが、論文中にはメチルエステル存在下でも溶媒がDCEであれば選択的にTroc基を脱保護できる例もあり、汎用性についてもみなさんチェックしてみてください。
飽和型で2炭素増炭したエステル、アミドの合成法としてアルコールから直接はすばらしい#学ぶの論文紹介
Sustainable Alkylation of Unactivated Esters and Amides with Alcohols Enabled by Manganese Catalysis https://t.co/RrrTelh6oi— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年12月4日
使えるシリーズ最後はこちら。
アルコールから2炭素増炭したエステル、アミドの合成法としては素晴らしいと思いました。
飽和型でこの方法を用いてどんどん増炭していくというのもありかも知れませんね。
次はこちら
ヘゲダスに載ってて、これの応用例はあんまり・・・。って書いてあったやつ!最近他にも出てたし、この辺が今後は熱くなってくるのかな。あとでしっかり読もう。#学ぶのメモ https://t.co/NInObGYZPD
— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年1月3日
こちらの反応、あまりとりだたされなかったかと思うのですが、個人的にはCrと芳香環との錯体をホウ素アート錯体を組み合わせたところが面白いなと思って選定しました。
シリル試薬でデシリル化とはまた面白い。コアな反応ながら基礎反応であり良さそうです。#学ぶの学び
An Additive-Free, Base-Catalyzed Protodesilylation of Organosilanes https://t.co/OZfE2Wm6P4— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年2月11日
こちらの論文も合成への応用がききそうであること、副反応として考えておかなければならない脱シリル反応の可能性について学べる論文だったので選定。
ゲルマニウム化学はまだあまり学べてないので時任先生の論文で学びたいです。#学ぶのメモ https://t.co/HGlb9g1bDd
— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年2月27日
Ge≡Ge結合の反応性についてしっかりと学べると共に、反応の面白さを感じたので選定。
時任先生面白い化学をありがとうございます。
#学ぶの論文紹介
え!なにこれ!めちゃいい反応じゃん
Development of an SNAr Reaction: A Practical and Scalable Strategy To Sequester and Remove HF https://t.co/ntdLUk6BZj— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年9月21日
プロピオン酸カルシウムでここまで有用な反応ができるというのは素晴らしいと思いました。
是非とも使いたい反応です。
#学ぶの論文紹介
Daviesの真骨頂と言うべき、不斉Rh触媒による選択的なC-H活性化反応。そしてStoltzも載ってるのか。。。
Catalyst-Controlled Selective Functionalization of Unactivated C–H Bonds in the Presence of Electronically Activated C–H Bonds https://t.co/bE0FHWqc7v— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年9月22日
シクロプロパン環型触媒と違った触媒で異なる位置選択性を示すことを最近徐々に明らかとしてきていますがさらなる発展を示したと思ったので選定。
#学ぶのブログ紹介用
Dehydration of Amides to Nitriles under Conditions of a Catalytic Appel Reaction https://t.co/ZBKoOzEBaJ— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年12月28日
こちらはTPPOを触媒に用いるという考え方が面白いと思ったので選定。
けとんくんも紹介してましたが、こういったカルベンは今後使われそう。#学ぶの論文紹介
Transition-Metal-Free Decarboxylative Arylation of 2-Picolinic Acids with Arenes under Air Conditions https://t.co/Loxo0S7DyA— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年11月4日
こちらの論文はカルベンなのかどうかということに少し疑問は残りますが、一方でその新しさ、面白さ、議論のしがいまで含めていい論文だと判断しました。
ベンゾイソオキサゾールを窒素源に使うんだ。いい反応。
Buchwald先生。#学ぶの論文紹介
A Practical Electrophilic Nitrogen Source for the Synthesis of Chiral Primary Amines by Copper-Catalyzed Hydroamination https://t.co/qMY181Yioo— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年11月9日
ベンゾオイソオキサゾールに遷移金属触媒を作用させて開環させた後、窒素部位を窒素源として用いるという発想が面白いと思い選定。
不均化するのは知りませんでした。#学ぶの論文紹介
FeCl3 as an Ion-Pairing Lewis Acid Catalyst. Formation of Highly Lewis Acidic FeCl2+ and Thermodynamically Stable FeCl4– To Catalyze the Aza-Diels–Alder Reaction with High Turnover Frequency https://t.co/DQEynjfDrn— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年11月15日
[FeCl2][FeCl4]と不均化するというのが面白いのと知らなかったので、これが学べたことで選定。
けとんくんも紹介してた論文。MeIを系中でどんどん発生させるとはHartwigの考えることはすごいなあ。#学ぶの論文紹介
Trimethylphosphate as a Methylating Agent for Cross Coupling: A Slow-Release Mechanism for the Methylation of Arylboronic Esters https://t.co/Af5ShGorxV— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年11月29日
MeIを試薬として用いるのではなく、系中で発生させるという考え方がまた面白かったです。
#学ぶの論文紹介
試薬は古典的だが反応はいい。基質適用範囲を確認する。
Intermolecular Radical Mediated Anti-Markovnikov Alkene Hydroamination Using N-Hydroxyphthalimide https://t.co/ZAUIclOn9a— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年9月21日
HATを用いる部分の考え方が他にも応用可能な形であっていい反応だと思いました。
Shenviのラジカル手法から考案されてるな。面白い。#学ぶの論文紹介
Catalytic Radical–Polar Crossover Reactions of Allylic Alcohols https://t.co/UfT8oQiAKt— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年12月1日
こちらもそれに関連してのセレクションです。
Shenviもラジカル反応を巧みに扱うよなあ。一電子酸化還元剤の使い方と発想が素晴らしい。#学ぶの論文紹介
Branch-Selective Addition of Unactivated Olefins into Imines and Aldehydes https://t.co/tFXUyJx71c— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年11月30日
今となってはHAT型カップリングといえばこちらの方というべきくらい研究を進めてきているShenvi先生です。
向山水和反応の反応機構をHATだと明らかにしたBaran先生とShenvi先生ですが、Shenvi先生はHATの中でさらにシランのどれが最も反応性の高い活性種であるかまでつきとめています。
今回はHATから発展させた形で別の金属とのSETにより異なる反応種に変化させ、別の反応に展開しています。
今後も目が離せない分野です。
こちらの論文は最大候補でグランプリ選定漏れ致しました準グランプリとなります。
伊藤先生、今本先生の論文を彷彿とさせる論文。設計→反応実施→計算→設計の繰り返しの論文。Buchwald先生。#学ぶの論文紹介
Mechanistically Guided Design of Ligands That Significantly Improve the Efficiency of CuH-Catalyzed Hydroamination Reactions https://t.co/IvgN0bmYWs— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年10月18日
これもいい論文でしたが、その元がとにかく良かった。
それを紹介したかったのでグランプリ漏れ。もうネタバレになっちゃってますが笑
2018年反応分野のグランプリ
2018年の反応分野のグランプリに学ぶが選定したのは
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じゃじゃん!!こちらの論文です!
#学ぶのブログ紹介用
岩本くんと伊藤肇先生、今本先生の論文。
計算→触媒設計→実験→・・・のすごさ。https://t.co/RGGeCyUTRP— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年12月28日
岩本くんと伊藤肇先生、今本先生とのトリオ論文は学ぶにとってはセレクションの中で1番推したい論文でした(トリオと呼ぶには豪華すぎます、皆様勝手に呼んでごめんなさい)。
計算→触媒設計→実験の流れを実現できていること、今本先生自身が触媒を合成されていること、計算化学の汎関数を実験に合わせて選択した岩本くん、そしてその考え方がこの先いいのではないかという伊藤先生の先見の明全てに惚れました。
これはこの記事を読む皆さんに読んで頂きたいです。
実際に計算化学を行っていても、反応開発の流れの中にFIXする過程を順序立てて入れることは非常に困難であります。
お三方の素晴らしい力が各場所に働いたからこその実現された論文であると感じました。
内容はこれまで達することが難しかった末端アルケンのマルコフニコフ型のヒドロホウ素化体を高エナンチオ選択的に与える反応です。
面識はあったものの、直接お会いしたことがなかった伊藤先生でしたが、IKCOCで自らポスター発表をされているときにお会いすることができ、その際にも詳しくお話聞かせて頂きました。
ちなみに学ぶのボスもこの論文に非常に興味を持ち、論文の話をしたところじっくり読みたいから印刷しておいて欲しいと言われて読んだくらいです。
何度も言いますが、みなさんも読んでみてください!
チタン系の論文
こちらはおまけとして。
チタンの論文も備忘録もかねてその年一番良かったと思う論文を選定すべく、セレクションしちゃいます(勝手にやってろよと思うかと思いますが、個人ブログなので存分に自由を出していきます笑)
(↑q↑)オオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!チタン!!!!#学ぶの論文紹介
In Situ Catalyst Generation and Benchtop-Compatible Entry Points for TiII/TiIV Redox Catalytic Reactions https://t.co/Bd5DehKpCd— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年9月7日
はいチタンきたー!#学ぶの論文紹介
Nickel-Catalyzed Cross-Electrophile Coupling between Benzyl Alcohols and Aryl Halides Assisted by Titanium Co-reductant https://t.co/iRLBiSNvYq— 有機化学を学ぶ人 (@yuukiwomanabu) 2018年12月11日
チタン好きが推す論文ですね。
チタンの持つ①一電子還元的性質②二電子還元的性質③Lewis酸
のなかで①を利用し、他の遷移金属と組み合わせたのが鮮やかでした。
関連記事
グランプリ記事でき次第、随時リンク追加予定です!
- <2018年>学ぶの勝手に論文グランプリ(反応開発分野・チタン系論文)
- <2018年>学ぶの勝手に論文グランプリ(合成系・医薬系分野)
- <2018年>学ぶの勝手に論文グランプリ(単離・構造決定分野、基礎研究・理論・計算系分野、総説)
カテゴリー:学ぶの勝手に論文グランプリ
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